ソニーのミドルレンジ4KテレビX8500Dシリーズレビュー【2016春モデルブラビア】
2016年春モデルブラビアレビュー第三弾!
今回は「X8500Dシリーズ」です。
上位機種と比べると、画質、特にコントラストに関する機能は劣りますが、4K/HDRやトリルミナスディスプレイに対応している分、X8000Cシリーズよりも優れているといえます。
今回特別に撮影許可をもらって撮影しています。
ブラビアならではの高画質を実現する機能
司令塔!4K高画質プロセッサー「X1」
「4K X-Reality Pro」や「X-tended Dynamic Range」「トリルミナスディスプレイ」といった高画質機能の効果を向上させるのが4K高画質プロセッサー「X1」です。
2015年春モデルブラビアから登場したパーツになります。
2016年4月現在のラインナップで搭載されている機種は、X9400Cシリーズ、X9350Dシリーズ、X9300Dシリーズ、X8500Dシリーズ、X8500Cシリーズ、X8000Cシリーズの6シリーズになります。
4K高画質プロセッサー「X1」により、映像を分析する力がパワーアップしたことで、それぞれの機能がより効果的に動作するようになりました。
具体的にどう効果的なのかは、それぞれの項目で解説したいと思います。
4Kにアップスケーリングする高画質エンジン
ソニーの高画質エンジン「X-Reality PRO」を4Kテレビ用に改良した「4K X-Reality PRO」を搭載しています。
4K X-Reality PROはアルゴリズム処理の最適化や超解像技術により、映像を高精細(細かく描写)にするソニー独自の機能です。
4K X-Reality PROの注目したい点は、4K画質ではない映像も4Kにアップスケーリングする点です。
例えば、フルハイビジョン(2K)画質の映像を、超解像技術により4K映像に変換してくれるということです。
「同じ映像を2Kから4Kに変えたって一緒じゃないの?」と思われるかもしれませんが、明らかに違います。
店頭や展示会、量販店などで自分が4Kテレビの画質に慣れてきたというのもあるかもしれませんが、55インチクラスの4Kテレビとフルハイビジョンテレビ(2Kテレビ)の映像を比べるとフルハイビジョンテレビの映像は荒さが目立ちます。
隣に並んでるからわかるというわけではなく、置いてあるフルハイビジョンテレビを見ると「なんか荒いな」と感じるわけです(視聴距離の問題もありますが)。
地デジ放送に慣れてからアナログ放送を見た時と一緒というと少しオーバーですが、似たような感覚です。
X8500Dシリーズのように、大画面になればなるほど、4Kの効果が表れます。
ちなみに4Kの守備範囲は50インチ程度から85インチ程度の間と思っています。
また、4K高画質プロセッサー「X1」の効果で、従来よりも、アップコンバート後の映像を細い線で描けるようになりました。
フルハイビジョンの映像が(それ以下の解像度の映像も)、高精細な4K映像にアップコンバートされるわけです。
コラム1.どういうテレビが高画質なのか?
このサイトでは繰り返し主張していますが、家庭用テレビの解像度は4Kでほぼ頭打ちになると個人的に考えています。
85インチくらいの8Kテレビが家庭向けに発売される可能性は十分あると思いますが、一般家庭に普及するような代物ではないと考えられるからです。
そのため、テレビの進化は「解像度」から「色+コントラスト」へと変わりつつあります。
どの液晶テレビが高画質なのかを判断するさいに「解像度の高い「4K」が高画質!」というのはとてもわかりやすい指標だと思うのですが、
解像度だけではなく、色域の広さや、コントラストに関する技術にも注目して、テレビを検討するのが良いと思います。
広色域を実現するトリルミナスディスプレイ
トリルミナスディスプレイが搭載されているX8500Dシリーズは通常のテレビよりも色域が広くなっています。
色域、つまり使える色が従来よりも多くなったことで、表現力がより豊かになっています。
さらに、「X1」の力で、トリルミナスディスプレイの表示性能をより引き出すことができるようになりました。
コラム2.ソニー・ブラビアの色あいについて
ネット上の口コミに「ソニーの色は鮮やかすぎて(人工的なイメージ?)好きじゃない」という趣旨のコメントがあったりします。
「あーそうなんだ」と思ってから量販店などで実機を確認するさいに気を付けて欲しいのが、展示機のブラビアの画質モードです。
画質モードの設定が「ダイナミック」になっていると色味が強く感じることがあります。
「ダイナミック」は映像の輪郭やコントラストを際立たせる設定です。
「ダイナミック」が好きという人もいれば「ダイナミック」はちょっとという人もいます。
画質については個人の好みなので、どれが正解ということもありません。
ただ、画質モードによって、映像の雰囲気が大きく変わります。
つまり、画質モードの設定で、好みの画質を選択できるわけです。
「色味がちょっと・・・」と思ったときは、画質モードを変更してみると機種に対する印象が変わるかもしれません。
もちろん、他社メーカーのテレビにも同じことが言えるので「このメーカーの色はちょっと・・・」と感じたときは、試しに画質モードをいじってみてください。
ブラビアに関して言えば、トリルミナスディスプレイと「X1」によって、設定できる画質の幅が広がったと考えるのが良いと思います。
ちなみに、カトーデンキにあるKJ-55X9300Cの画質モードは「シネマホーム」に設定して、コンテンツを楽しんでます(仕事しろ)!
4K/HDR
ソニー独自のロゴが作られ、認知度向上を目指しているHDR。
HDRとはなんぞや?
HDRは、ハイダイナミックレンジ(High-Dymamic-Range)の頭文字をとった言葉なのですが、
輝度(明るさ)の範囲が広いことを示しています。
今までの撮影機器では記録できなかったまぶしい光を記録できるわけです。
そして、4K/HDRロゴがついたブラビアは、HDRに対応した機器で撮影した映像をちゃんと表現できることを表しています。
HDR対応は、高コントラスト技術(明暗)とも関係してきます。
輝度が高い映像(HDR対応の映像)は、明るいところは明るく、暗いところを暗く表現できる
高コントラスト技術がないとうまく表現できないのです。
つまり、X-tended Dynamic Range PROや直下型またはエッジ型LED部分駆動、Slim Backlight Driveといったコントラストにかかわる技術とHDRは密接に関係しています。
その点、X8500Dシリーズはコントラストの部分は上位機種と比べて弱いと言えるので、HDR対応映像を存分に楽しめる環境かといわれると、正直微妙です。
それでも、HDR対応映像の場合、映像に使用する色も増えるため、X8500Dシリーズに搭載されているトリルミナスディスプレイの実力が発揮されそうです。
まとめると、HDR信号に対応していることで、HDR映像を視聴する際にしっかり画質は向上するということです。
もちろん、コントラスト関係の機能が搭載されている機種のほうが、より画質は向上します。
まだHDR対応機器で撮影されたコンテンツは多くないですが、ビデオ配信サービスなどでは今後のトレンドになっています。
個人的にも、NETFLIXやAmazonビデオ、Huluなどの映像配信サービスから多くのHDRの映像が配信されるのを楽しみに待ってます。
速い動きの映像にも対応する技術
液晶テレビの映像は静止画の連続でできており、パラパラ漫画と同じ原理で表示されています。
通常は1秒に60コマです。
X8500Dシリーズでは、60コマの映像を補完する画像を新規に生成することで、1秒に120コマにします。
1秒間に120コマの映像によって、スポーツ番組などでも従来よりもなめらかな動きを実現しています。
これが「倍速機能」です。
加えて、モーションフローXR240というバックライトのオンオフを制御する機能との組み合わせで、1秒間に240コマ相当を実現しています。
モーションフローXR240は、バックライトのオンオフによって、1コマの体感を2倍にする機能です。
倍速機能とモーションフローにより、スポーツなどの速い動きはもちろん、アニメなど、もともとコマ数の少ない映像にも威力を発揮します。
4Kチューナー内蔵
2015年モデルに引き続き、2016年春モデルの4Kブラビアも4Kチューナー内蔵しています。
現在、4K放送しているのは、スカパープレミアムサービスだけです。
スカパー4Kプレミアム放送を見るには、加入手続きをした後に送られてくるICカードを差すことで視聴できます。
【注意】2016年に予定されているBS17ch4K試験放送について
4K/8K放送のロードマップでは今年(2016年)、BSにて4K放送の試験放送がはじまる予定となっています。
しかし、今までに発売された4Kブラビアと2016年春モデルブラビアに搭載されている4KチューナーはCS放送に対応した4Kチューナーであって、BS17chの4K試験放送には対応していません。
なのでX8500Dシリーズ単体ではBSでの4K放送を視聴することができません。
BS・110度CSによる4K、8K放送を楽しむには、発売されるはずの対応チューナーなどが別途必要になります。
ただ、ソニーだけでなく、他社メーカーも現状対応しているメーカーはありません。
BS 4K実用放送が始まる2018年ごろまで、対応するチューナーは市販されない可能性が高そうです・・・(根拠は下の引用をご覧ください)。
2016年のBS17chを利用した試験放送はあくまで発信側(放送局)の試験と認識するのが良いと思います・・・。
現在受信機メーカーからも受信機の開発に取り組んでいると聞いておりますが、実際の市販となりますと、2018年の実用放送の開始される頃の受信機の市販に向けて開発に取り組んでいると聞いているところでございます。したがって、この4K・8Kの試験放送、今年から始まる試験放送の開始時点では、この方式に対応する受信機が市販されるという見込みは、現状では、関係者からお聞きする限り、低い状況にございます。
電波監理審議会(第1028回)会議資料 議事録 P28 http://www.soumu.go.jp/main_content/000405963.pdf
NETFLIXやひかりTV4Kなどで4Kコンテンツが楽しめます。
BS4Kの試験放送そして実用放送の視聴には別途チューナーが必要になるわけですが、
NETFLIXなどのVOD(ビデオオンデマンド)サービスに加入すれば、4Kコンテンツを楽しむことができます。
特に、ブラビアのリモコンにはNETFLIXボタンがついていて、すぐにNETFLIXのコンテンツにアクセスできるようになっています。
4Kコンテンツではありませんが、孤独のグルメをNETFLIXで視聴したときの記事はあります。
>>孤独のグルメを4Kテレビで見てはいけない・・・。
Netflix (ネットフリックス) - 大好きな映画やドラマを楽しもう!
高音質を実現する技術
音をアップコンバート!「DSEE」
X8500Dシリーズには、音をCD音源より上の48kHz/24bitに変換する「DSEE」が搭載されています。
ネット動画やテレビ放送など、圧縮された音源の失われたデータを補完する機能です。
スピーカーにはバスレフ型スピーカーを搭載
X8500Dシリーズにはバスレフ型スピーカーが搭載されています。
バスレフ型スピーカーは、ヘルツホルム共鳴という原理で音を増幅しています(ビンに口を近づけて息を吹くと「ボー」っと鳴るアレです)。
一般的に低音域に強いです。
他には、ソニーの高級オーディオ機器の技術を生かした「Clear Phaseテクノロジー」を採用しています。
振幅特性を平坦化したため、自然でクリアな音が聞こえます!
壁掛けにも適した薄型デザイン
X8500Dシリーズは壁掛けもできます。
実際、ソニーストア名古屋では壁掛けで展示されています。
X8500Dシリーズは、フレームにシルバーのラインが入っていて、締まった印象を受けます。
ちなみに、X9300Dシリーズには同じようにゴールドのラインが入っています。
ソニーストア名古屋では展示していませんが、2016年春モデルではスタンドのデザインに変更があって、横から見た時に3枚の板で構成されているようなデザインになっています。
スタンドの後ろにはコードを隠せるようになっていて、すっきりと配置することが可能です。
このあたりのデザインにまつわるストーリーを知りたい方は下記をごらんください!
読むと、2016年に発売されたソニー製品を集めたくなってくるかもしれませんよ?(笑)
Sony Japan | Sony Design | Stories: Products | Slice of Living
Android搭載
↑写真はKJ-65X9350Dですが、ホーム画面は同じです。
今までは、メニュー画面などはソニー独自のソフトで構築されていましたが、2015年春モデルから、Androidをベースにした機種が登場しました。
正直な話、2015年モデルの最初のころはAndroid関連の不具合が多かった印象はありますが、アップデートによってだいぶ安定性は増しました。
その流れからいくと2016年春モデルは安定して動作すると考えています。
音声検索
テレビでAndroidを利用する上で欠かせないのが音声検索です。
リモコンで文字を打つのってものすごいまどろっこしいんですが、音声検索を使えば、文字を打たなくていいのがとても便利です。
音声検索はリモコン上部のマイクボタンを押すことで起動します。
音声検索というと、うまく認識してくれない印象を持っている方もいるかもしれませんが、自分が試したところ、かなりの精度で正確に言葉を選んでくれました。
文字入力の手間はかなり省けます。
Youtubeで動画検索などをする場合は、音声検索を使ったほうが断然楽です。
お子さんがいらっしゃる方は、一緒に映画やアニメを視聴すれば、育児負担の軽減にもなるんじゃないかと思います。
音声検索さえ覚えてしまえば、子供が好きな動画を探して視聴するのも可能です。
それに、Youtubeの動画を見るにしてもスマホの小さい画面よりブラビアの大きい画面で見てくれた方が安心できる上に目にも優しいですよね。
リモコンについて
↑左が2016年春モデルのリモコン。右が2015年モデルのリモコンです。
2016年春モデルのリモコンに対する第一印象は、若干押しづらそう(反応が悪そう)に見えたのですが、押し心地は少し違いはありますが、個人的には嫌いではないです。
リモコンのボタンは1枚のラバー(?)で構成されています。
普通のリモコンだと、何かをこぼしてしまうとボタンのすきまに流れ込んだりして、ボタンが固まったり、ネバつきが取れなくなるというようなことがあったと思いますが、2016年モデルのリモコンはすきまが存在しないので、すべてふき取ることができます。
もちろん、テレビが意図しない動作を起こさないように、電池を外してからリモコンを拭くのを推奨します!(笑)
他には、リモコンが一つに統一されました。
タッチパッドリモコンはなくなり、機能が統一されました。
結果として、スマホやタブレットの画面をワンタッチでテレビに映し出す「ワンタッチミラーリング」機能はなくなりましたが、
スクリーンミラーリング機能(スマホなどの画面をテレビに映す機能)は残っています。
どういうことができるかというイメージは以下の記事を参照してください。
Xperiaをブラビアの大画面で楽しもう!「ワンタッチミラーリング」編
無線LANも11acに対応
現行のブラビアはほとんどの機種が無線LANに対応していますが、X8500Dシリーズは一番通信速度が高速な11acという規格に対応しています。
4K映像はデータ量が大きいため、高速な通信環境を構築できる11acを利用したほうがより安定して視聴することができるわけです。
ただ、11acは比較的新しい無線規格(2013年ごろ登場)なので、家で使っている無線ルーターが対応しているかどうかは確認したほうが良いと思います。
無線規格の11acについてもっと知りたい方には、バッファローのページがわかりやすかったので、紹介しておきます。
次世代高速Wi-Fi規格「11ac」でできること | BUFFALO バッファロー
ディスプレイサイズとラインナップ
X8500Dシリーズは、55インチと65インチの2種類がラインナップされています。
55V型 KJ-55X8500D
外形寸法(cm)
幅×高さ×奥行[スタンド含む]:123.1x71.7x4.4[123.1x77.0x26.3]
質量[スタンド含む]:15.1[18.6](kg)
>>CATO DENKI.com「KJ-55X8500D」商品ページ
65V型 KJ-65X8500D
外形寸法(cm)
幅×高さ×奥行[スタンド含む]:145.4x84.2x4.4[145.4x89.4x27.9]
質量[スタンド含む]:20.3[23.9](kg)
>>CATO DENKI.com「KJ-65X8500D」商品ページ
X8500Dシリーズをオススメする理由!
X8500Dシリーズは4K映像にアップコンバートする「4K X-Reality PRO」はもちろん、トリルミナスディスプレイを搭載しています。
HDR映像に対応しているため、色彩豊かなHDR映像を表現するさいにトリルミナスディスプレイの力が発揮されます。
4Kテレビを十二分に楽しむには、テレビ放送だけでなくビデオ配信サービスも利用するのがオススメです。
NETFLIXやHulu、U-Next、dTV、ひかりTV4K、Youtubeなど多くのサービスが有料・無料であります。
まだ対応していませんが、Amazonビデオも対応する予定です。
PlayStation 4にはAmazonビデオのアプリが存在するので、PS4を使えば、すでにAmazonビデオの視聴することはできます。
X8500Dシリーズないしは4Kブラビアはコンテンツを楽しみたい方にオススメしたいです。
テレビはテレビ放送を見るだけのものではなくて、テレビ放送を含めた好きなコンテンツを大画面で高画質で楽しむものに役割が変わりつつあるように思います。
テレビ放送が視聴できればいいだけという人には、もしかすると4Kブラビアはあまり良い機種ではないかもしれません。
高級テレビといえる4Kブラビア。
X8500Dシリーズはリビング、プライベートルームにオススメです。
>>CATO DENKI.com「KJ-55X8500D」商品ページ
X8500Dシリーズ(2016年モデル)とX8500Cシリーズ(2015年モデル)の違い
X8500Dシリーズ(2016年モデル)とX8500Cシリーズ(2015年モデル)の比較記事を参照してください。
X8500DシリーズとX8500Cシリーズの比較!2016年春モデルブラビア比較
こだわる方への提案
画質にこだわる方
X9300DシリーズまたはX9400Cシリーズがオススメです。
音質にこだわる方
X9400CシリーズまたはX9350Dシリーズまたはホームシアターシステムの購入がオススメです。
おしえて はじめてのホームシアターシステム | ホームシアターシステム | ソニー | サウンドバー/ホームシアターシステム | ソニー
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2019/02/01